お坊さんの呼び方

10年以上前のことですが、何かで話しかけられたことがあり、

名前も知らない人
「あの・・・、坊主?」
「!」

と、いうことがありました。

最初は「どうかなぁ」と思うところもありましたが、その方は言葉も丁寧でしたし、普通にお話しすることが出来ました。結局、名前のわからないお坊さんをどう呼べばよいのかわからなくて、ご自身の中で知っている言葉が「坊主(ぼうず)」だったんだと思います。

「坊主」という言葉も「坊の主」、つまりお寺の住職のこと、総じて僧侶を指し、間違ってはいませんが、一般的には「お坊さん」と呼んだ方がいいでしょう。

 

日蓮宗の場合、基本的には「上人(しょうにん)」を使います。名前で呼ぶ場合は「廣崎本浄上人」、家族2世代や複数のお坊さんがいる場合は下の名前のみで「本浄上人」や「若上人」のように使います。単に「お上人」という場合もあります。お寺に行った場合などは、「ご住職」や「ご院首(いんじゅ)」、又は「ご隠居」でもよいかと思います。

特殊な場合は、祖山である身延山久遠寺の住職は「法主(ほっす)様」や「法主猊下(げいか)」と呼びます。現在であれば、「内野日総法主様」になります。また、全国に56あります、大本山・本山の住職は「貫首(かんじゅ)様」や「貫首猊下」になります。

 

その他、地域性もあるかもしれませんので、ご参考までに、

  • 「僧正(そうじょう)」 実際はお坊さんの位を指すものですが、一般的には高齢のお上人や、法要などの中で重要な役職を務めるお上人を紹介する際に司会が使ったりします。
  • 「方丈(ほうじょう)」 方丈はお坊さんの居住スペースを指していますが、日蓮宗の場合は「庫裡(り)」という言葉を使います。静岡市葵区・駿河区は曹洞宗が多いこともあり、葬祭会社の方が「方丈さん」という風に使っています。
  • 「老師(ろうし)」 こちらは禅宗で使われる言葉です。日蓮宗では使うことはないです。
  • 「御前(ごぜん)」 家族2世代でお坊さんの場合、年上のお坊さんのことを指して言う場合があります。「御前さん」や「御前様」と使ったりします。
  • 「おっさん」 「和尚(おしょう)さん」がなまって変化したもので、「っさん」とイントネーションは「お」にかかります。
  • 「導師(どうし)」 導師は法要の中の役割の1つですので、日蓮宗では法要中に使われることはありますが、普段使いはしないです。

 

どの宗派でもそうですが、分からない時は「何とお呼びしたらいいでしょうか?」と聞かれることをお勧めします。